近年はインターネットの普及などにより、とても便利な世の中になったと感じる方も多いでしょう。しかしその反面、精神的なストレスを感じることが増えたという意見も多いですよね。こうしたストレス社会の影響や、メンタルヘルス意識の高まりもありHSPやアダルトチルドレンと呼ばれる状態だと判断される方も増えてきています。
今回の記事では、こうした「HSP」「アダルトチルドレン」に焦点を当てて詳細にご紹介します。HSPやアダルトチルドレンとはどんなものなのだろう?また、もしかしたら自分も当てはまるのではないか?とお悩みの方に役立つ記事になっていますので、ぜひ最後まで読んで見てくださいね。
まずは、確認しておきたいHSPの特徴と原因
HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、「特に感受性が強く敏感である人」のことを指します。
・人の感情を強く感じ取り疲れやすくなってしまう
・五感が鋭く、情報を受け取りすぎてストレスになる
・体調やメンタルに影響するほど他人の感情に引き込まれる(共感しすぎる)
・難しく考える必要のないことも考えすぎてしまう
HSPの方は上記のような特徴を持っています。HSPは病気とは違い、その人が元来もつ特性を指すものです。あらゆる刺激に敏感で人の感情に振り回されやすいので、気疲れがひどかったり、なんとなく生きづらさを感じる方も多くいます。
病気ではないためはっきりとした診断をつけられることはありません。そのため周りから理解が得られにくいという点も、HSPの難しい点です。昔よりもメンタルヘルスへの理解が進んでいる現代ですが、まだまだ足りない点もあるのが現状です。
知っておきたいアダルトチルドレンとHSPの違い
アダルトチルドレンは、幼少期の環境
アダルトチルドレンとは、子供のころに親から十分な愛情を得られず、大人になっても日常生活のあらゆる場面に影響が出ている人のことを指します。家庭環境に問題があり、様々な精神的問題を抱えている場合が多いのが特徴です。以下でアダルトチルドレンによく見られる特性について詳しく説明します。
①自己肯定感が低い
…自分のことを認めてもらえず、常に自分を責めてしまう
②人との距離感がつかみにくい
…親との関係性が不安定だったため、人との距離感が分からず、人間関係で苦労する
③感情のコントロールが難しい
…感情を素直に表現できず、抑圧したり爆発させたりしがち
④依存心が強い
…誰かに頼らないと生きていけないと感じて依存的な関係を作りやすい
こうした特性は心的ストレス、うつ病などの原因にもなり得るものです。また仕事にも影響が出やすく、職場がつらくなってしまい仕事が長く続かないなど社会生活にも多大な悪影響を及ぼすことがあります。こうした特徴や特性は個人によるところが多く、明確な診断基準もありません。
HSPは、本来持っているあなたの気質
HSPの特徴については前項でご説明しましたが、HSPは病気そのものの名前ではなく、その人がもともと持っている気質のことです。その原因は脳の構造や神経伝達物質の働き方の違いにあると考えられていますが、まだはっきりとは断定できていません。
HSPの方はその特徴から以下のような行動や考え方の特徴があります。
・共感性が高い
… 周りの人の気持ちに深く共感し、相手の立場に立てる。
・完璧主義
…何事も完璧にこなそうとする傾向がある。
・内向的
…静かな環境を好み、人混みを避ける傾向がある。
・創造性が高い
…感性が豊かで、芸術や音楽など創造的な活動が得意。
・正義感が強い
…不公平なことを嫌い、弱い立場の人を助けたいと思う。
このように、長所ととれることがたくさんある反面、それが原因で生きづらさを感じてしまうこともしばしば。
アダルトチルドレンとHSPが似ている点
ここでHSPとアダルトチルドレンに共通することをご説明します。
・生きづらさ
…どちらも生きづらさを感じやすく、周囲の人から誤解されることがあります。
・共感性が高い
…HSPもアダルトチルドレンも、共感性が高い傾向があります。
・完璧主義
…アダルトチルドレンの特徴として挙げられる完璧主義は、HSPも当てはまる場合がありますが、その背景は異なります。HSPは生まれつきの気質から、アダルトチルドレンは過去の経験から完璧主義になる傾向があります。
HSPの気質を持ちながら、アダルトチルドレンの経験をしている人もいます。このような場合は、両方の要素が複雑に絡み合って、より強い生きづらさを感じている可能性があるのです。
アダルトチルドレンの特徴について知りたい方は、下記の「アダルトチルドレンの特徴」についてまとめました。
ぜひ、読んでみてください。
アダルトチルドレンとHSPが幸せに生きるには
自分を理解してあげること
アダルトチルドレンやHSPに限らず自己理解は大切ですが、生きづらさにつながる特性を持つ人たちにとってはより重要な意味を持ちます。自分にはどんな弱点があるのか、どんな理由で生きづらさを感じているのか、整理して把握しておきましょう。
まずはスマホのメモでも紙でも構わないので、生きづらさを感じている点、考えられる原因、対策できそうなものはその方法を書き出してみることをお勧めします。視覚的に整理することで情報がまとまり、頭の中だけで考えるよりもスッと飲み込みやすくなるのです。
なりたい自分をクリアにすること
自分を分析し弱点を理解したところで、現状の自分となりたい自分についても考えてみましょう。なりたい自分をクリアにしていくために、お勧めの方法を以下に記載します。
①困っていることを樹形図で書き出してみる
…中央に大きな困りごとを書き、そこから木の枝のように関連する困りごとを分岐させて書いていく。だんだん要素を細かくしていくイメージ。
②細かくした要素の中から、特に困っていることを3つ~4つ程度選ぶ
③選んだ困りごとに具体的な対策を考える
④考えた対策を目標として手帳などに書いて、実行していく
⑤④が十分に実行できたと感じ目標達成出来たら、②から繰り返す
⑥中心に描いた大きな困りごとが解消できたと感じたら、終了!
…ほかにも解消したい大きな困りごとがあれば、同じ手法で少しずつ解消していきます。
このように、視覚的にまとめること、スモールステップで少しずつ目標を達成して自信をつけていくことが重要です。
図:樹形図の例
心の傷を癒すこと
目標をもって自分を変えていくことと同じくらい、自分の心の傷に目を向けて癒すことも大切です。傷を癒すことで、心の安定、人間関係の改善、自己肯定感の向上などにつながり、豊かな人生を歩む助けになります。
では、具体的にはどうすればいいのでしょう。
専門家への相談
・カウンセリング
…専門家であるカウンセラーに話を聞いてもらい、心の状態を客観的に見直すことで、解決の糸口が見つかることがあります。
・精神科
…症状が重い場合は、精神科医に相談し、適切な治療を受けることも大切です。
自己対話と心のケア
・日記をつける
…自分の感情や考えを言葉にすることで、心の整理ができます。
・瞑想やヨガ
…呼吸法や体感を意識することで、心を落ち着かせ、リラックス効果が得られます。
・アロマセラピー
…アロマの香りで心を癒し、リラックス効果を高めます。
・自然に触れる
…自然の中で過ごすことで、心が安らぎ、ストレスが軽減されます。
・趣味を楽しむ
…好きなことをすることで、心のリフレッシュになります。
人間関係の見直し
・信頼できる人に話す
…心の悩みを信頼できる人に打ち明け、共感してもらうことで、気持ちが楽になることがあります。
・新しい人間関係を築く
…同じような悩みを持つ人とつながり、共感し合うことで、孤独感を解消できます。
自己肯定感を高める
・自分の良いところを探す
…自分の長所や得意なことを意識し、自己肯定感を高めるようにしましょう。
・肯定的な言葉をかける
…自分自身を励ます言葉をかけることで、自己肯定感が高まります。
このように、心の傷を癒すための方法は様々ありますが、重要なのは無理なく自分に合った方法を見つけることです。
アダルトチルドレンもHSPもどちらも克服できる
アダルトチルドレンは環境による後天的な特性、HSPは先天的に持っているその人の特性です。どちらもその特徴から生きづらさを抱え、一人で悩んでいる人もたくさんいます。どちらも病気ではないため、明確な診断基準や特効薬もありません。
しかし自分の特性を理解し、うまく付き合っていくことは決して不可能ではありません。小さなステップを踏みながら少しずつ生きづらさを解消することや、心の傷と向き合って癒していくことで、生活や人間関係などが改善していくことでしょう。
時には自分で考え、時には専門家の力を借りることで、よりよい人生を歩むことができるようになります。現在アダルトチルドレンやHSPで悩んでいる方は、ぜひ自分に合った方法を実践してみてくださいね。